レイヴン・ブランウェン(Raven Branwen)はヤン・シャオロンの母で、クロウ・ブランウェンとは双子である。かつてはチームSTRQの
メンバーであり、現在はブランウェン盗賊団の首領である。また彼女は春の乙女でもあるのだが、表向きは団員であるヴァーナルがその身代わりをしていた。
外見・衣装[]
レイヴンはミニ丈の黒と赤のドレス、ビーズのネックレス5本、赤のガードルベルトとガントレットを着用し、スカートの右側に羽根飾りを下げている。Volume 2ではグローブ、Volume 4以降は指ぬきグローブをしている。
Volume 2では、赤いスプラッター柄の入った黒のデタッチト・レギンス、Volume 4以降は黒無地のデタッチト・レギンスを履いている。ソールとヒールが赤色の、黒のレザーハイヒールブーツを履いている。彼女のもっとも際立った特徴は、グリムの顔に似せたデザインの、おそろしげなフルフェイス・マスクである。マスクには4本のスリットが入っており、非人間的な印象をいっそう強めている。Volume 2では下側のスリットを通して目が見えているが、Volume 5ではスリットの内側は黒と赤の2色になっている。
マスクを外すとヤンにとてもよく似ており、顔の形はそっくりである。髪はヤンよりも量の多い黒髪で、赤いハイライトが入っている。眉はやや高く、肌はかなり色白で、目の下にわずかに皺がある。瞳の色は赤色で、激昂した時のヤンの瞳と同じ色合いである。赤いショールでくくった緩いポニーテールで、テールの部分は婉曲したカラスの羽根が集まっているような見た目である。
カラス状態のときには、頭の毛が少ない以外は弟と同じような見た目である。ただし、名前が示す通りレイヴンの場合は大型のワタリガラスに変身しており、その差は鳴き声(レイヴンの方がより深い音)や飛び方(クロウは羽ばたきが多く、レイヴンは滑空が多い)に表れている。
イメージギャラリー[]
人物[]
レイヴンは皮肉屋で横柄、かつ自己中心的で頑固な人物と言える。クロウはヤンとの会話の中で、レイヴンのことを危険な人物と呼んでおり、彼女の世界に対する見方は自分のものとは違うと話している。レイヴンは幼いヤンを置いて家を出ており母親としての役割を放棄したが、"No Brakes"でヤンをニオポリタンから救ったことで十分役目を果たしたと考えている。
"Family"では、彼女が「適者生存」を旨としていることが明らかとなった。またハンターとしてビーコン・アカデミーを卒業したにも関わらず、無辜の民や他のハンターの殺害に間接的または直接的に関わっているようである。彼女は先代の春の乙女を殺したようだが、その事すらも慈悲によるもので、生き抜く力を持っていない乙女が辛い人生を送ることを防いだのだと主張している。レイヴンはクロウに比べてより真面目かつ厳粛で、盗賊団の結束に関する自身の使命に重きをおいており、クロウのことを盗賊団を捨てた裏切り者とみなしている。
しかしながら、強大な乙女の力を持っており適者生存を旨とする一方で、レイヴンは心に不安を抱えており臆病な一面もある。彼女はセイラムに対して恐怖を抱いており、彼女には敵わないと悟ってからは逃げの一手を取っている。この恐怖の感情は、知識のレリックを手に入れセイラムから逃れるためならば自らの弟や娘の命を危険に曝すことも厭わないほど強いものである。しかしヤンが指摘した通り、レイヴンのこの選択は真にセイラムから逃れることには繋がらず一時しのぎにしか過ぎないものである。これらの事から分かる通り彼女の強さは表層的なものであり、問題の根源に向き合う強さは持っていない。
"Two Steps Forward, Two Steps Back"では、タイヤン・シャオロンがレイヴンについて語り、アカデミー時代は頑固だったこと、非常に直接的な方法をとること、戦闘においては力が極めて重要だと考えていたこと、ヤンが娘として受け継いでいる特徴について話した。またレイヴンは大志を抱いており、自分が正しいと思えば、それがどのような信条であれ自身の全てを捧げるとのことである。タイヤンはまた、レイヴンは数多くの欠点を持っており、それがチームSTRQの解散の大きな要因になったと明かした。
レイヴンは非常にプライドが高く、また自己を正当化する傾向がある。彼女は自分達が壊滅させたシオンに関してグリムに責任転嫁するような発言をしており、またレオナルド・ライオンハートとは異なりセイラムを恐れていることを決して認めようとしなかった。自らの目的のために娘のヤンやその友達を罠に嵌めたことに関しても、乗り切れると思っていたと述べて自らを正当化している。レイヴンは、真実を隠し続け何も知らない他者を自らの計画に巻き込んだオズピンを非難しているが、彼女自身も同じ事をしてしまっている。"Haven's Fate"にて、自信の持つ偽善性や心に抱えた恐怖をヤンから指摘されたことで初めてレイヴンはそれらを認めたようである。
冷酷な性格とは裏腹に、レイヴンは死亡したヴァーナルの目を閉じさせたうえ礼を述べるなど、優しい側面も持っている。また、実際にはレイヴンは以前からヤンのことを気にかけており、カラスの姿で幾度となく娘の動向を確認していたようである。彼女のこのような側面は"Haven's Fate"でさらに詳しく描写され、ヤンと心のこもった会話をした。セイラムと戦うことを拒否する臆病さ、自身の娘の幸福に関する冷淡さについてヤンが非難した後、レイヴンは再度ヤンにセイラムとの戦いから身を引くよう訴えたが拒否された。そしてレイヴンは涙ながらにヤンに謝罪した後、カラスの姿に変身して去った。
技能と力量[]
戦闘時のレイヴンは非常に高速で動き、その攻撃は肉眼では追いきれないほどである。初めてニオと交戦した際の様子から、アダム・トーラスと同じく、居合道の達人であることがわかる。シンダーとの戦いでは、レイヴンは巨大な岩を容易に切断した上で自ら作り出した氷で凍結させた地面を滑って高速移動している。この間はわずか数秒であり、彼女の反応速度が並外れて早いことを表している。
"Welcome to Haven"では、レイヴンとクロウはほぼ互角の実力であると述べられているが、これはレイヴンの乙女の力は考慮されていない。
武器[]
- メイン記事:オーメン
レイヴンはダスト製の刀、オーメンを武器として戦う。ダスト製ブレードは様々な種類があり、シリンダー製の鞘に収納されていて、付属のハンドルをブレードに接続して使う。鞘はワイス・シュニーのミルテンアスターに似た実装である。ハンドルをブレードに接続すると、刀身の長い片刃の大太刀を思わせる形になる。
ハンドルを鞘に接続することで、使用するダスト製ブレードを入れ替えることができる。ブレードは入れ子構造で、鞘の2倍ほどの長さに伸長する。一番多く使うのは赤いダスト製のブレードのようだが、他の種類も使っている。戦闘中に使っているのが確認されたダストの色は、赤、青、黄、灰または黒、緑である。ダスト製ブレードは、強力ではあるが、何度も打ち合ったり強烈な打撃を受けると壊れる。
センブランス[]
- メイン記事:キンドレッド・リンク
レイヴンのセンブランス、キンドレッド・リンクは特定の人物のもとへ続くポータルを作るというものであり、空間を切り裂き移動することが出来る。現在センブランスにより直接会う事が確認出来る人物は、タイヤン、クロウ、ヤンの三人である。また、おそらくヴァーナルも対象の一人だと考えられる。
レイヴンが初めてセンブランスを見せたのは、"No Brakes"であり、ヤンをニオから救った後、彼女がはっきりと意識を取り戻す前にセンブランスを用いて去っている。また、"Family"ではクロウとの話し合いが決裂した後、ポータルを用いて去っていった。
レイヴンはこのセンブランスと以下にある変身の能力を用いて、ヤンを見守っていた事を"Known by its Song"で仄めかしている。
このポータルはレイヴン以外の者も通ることができ、作中ではヤンとワイス・シュニーや、シンダー一味などがポータルを通って移動している。このときレイヴン自身が一緒に通る必要は無い。また、後者のケースではレイヴンが作り出したポータルはおそらくヴァーナルに続いていたと思われる。
レイヴンはほとんどの場合、刀を振るってポータルを開いているが、必ずしも刀を使う必要は無いようで、カラスに変身した状態でもこのセンブランスを使うことができる。
乙女の能力[]
- メイン記事:四人の乙女
その正体が自らの姉だとは知らなかったものの、クロウはシオンの破壊状況について春の乙女の力によるものであると指摘しており、その力が凄まじいものであることを示している。"Lighting the Fire"では、先代の秋の乙女であるアンバーがやっていたように空から落雷を発生させていた。また、"A Perfect Storm"では穏やかな晴天からあっという間に、強風が吹き暗雲が立ち込める天気に変えてみせた。レイヴンはこれらの力の行使について、いずれもヴァーナルがやったように見せかけて完璧に偽装していた。
レイヴンが乙女の力を使う時は、他の乙女と同じように目から暗赤色のオーラがほとばしる。普段、彼女が力を使うときはマスクで顔を隠しており、これによってヴァーナルが力を使っているように見せかけていた。シンダーとの戦いでは主に氷を生み出す力を使っており、生成した氷から武器を作り出す、氷を飛ばして攻撃する、離れた相手を凍結するなどの技を見せた。その他にも、手から電撃を発生させて打撃の威力を高めたり、高速で飛行する能力を使っている。
春の乙女として、レイヴンはミストラルの知識のレリックが封じられた扉を開くことが出来る唯一の人物である。
変身[]
弟と同様、レイヴンもカラス(特に大型のワタリガラス)に変身する能力を有している。この能力はオズピンの魔法により授けられたものである。レイヴンはこの能力を主に隠密行動のために使用している。
トリビア[]
- ブランウェン(branwen)はウェールズ語で、"聖なる白いカラス"を意味し、彼女のファーストネームにも合致する。レイヴン(raven)は鳥類スズメ目カラス科カラス属の多くの種の呼び名であるほか、黒い色を指す語でもある。
- なおravenとcrowはどちらもカラス属の黒色の鳥を指す語である。crowはカラスの総称で、そのうち大型のワタリガラスをravenと呼ぶ。
- "Burning the Candle"で、ヤンがレイヴンを探しに行ったこととクロウに助けられたことについて話した際、黒板に書かれていた文章は、北欧神話に登場する2羽のカラス『フギンとムニン』についての詩の引用である。文章はおそらく以下のとおり:
- Hugin and Munin fly each day over the spacious earth.(フギンとムニンは広大な大地の上を毎日飛んでいる)
- I fear for Hugin, that he not come back, yet more anxious am I for Munin.(私はフギンのことを心配している、戻ってこないかもしれないと。しかしムニンについては輪をかけて心配している)
- レイヴンはニオやココ・アデルと同じネックレスを着用している。
- レイヴンのマスクは、ホワイト・ファングが着けているグリムのマスクの、より精巧な型のように見える。
- レイヴンが使用する赤黒の移動ポータルの見た目は、"Beginning of the End"でシンダーがグローブで作り出していたものに似ている。Volume 1とVolume 3のオープニングにも似たようなポータルが登場している。
- ヤンがクロウとの会話の中で実際にレイヴンと会ったとは口にしなかったことから、Volume 2のクレジット後のシーンは、夢あるいは幻想と思われる。
- Volume 3では、レイヴンとヤンに関するエピソードがもっと多く盛り込まれる予定であったが時間の制約で断念された[1]。
- "Yellow" Trailerでヤンがジュニア・ションに見せているレイヴンの写真は、Monty Oumが制作したTransient Princessというアートの画像である。これはファイナルファンタジー VIIIのキャラクターであるリノア・ハーティリーを描いたもので、髪の先端が鳥の羽のように変化している。
参考[]
- ↑ Volume 3 DVD Directors' Commentary Chapter 8